プラモデルの製作やDIYなどで厚みのある素材をカッターナイフで切断しようとするとなかなか切れなくてストレスが溜まりますよね。しかし、超音波カッターなら硬い素材も厚みのある素材も力を入れずにスムーズに切断できます。さらに切断面もきれいなので作品の仕上がりも変わってくることでしょう。超音波カッターは業務用からホビー用、また手元スイッチやフットスイッチなどさまざまな種類があります。幅広い超音波カッターのなかから、用途に応じておすすめのモデルを紹介したので是非参考にしてください。
超音波カッターの仕組み
超音波を与えることで摩擦を抑えている
超音波カッターは超音波で刃を1秒間に20,000~40,000回振動させた摩擦熱によって対象物を溶かしながら切断する工具です。通常のカッターでは切断しにくい樹脂製品やゴム製品、複合素材などもスムーズに切断できます。また、切り粉や騒音、煙をほぼ排出しないのも魅力。
超音波カッターのメリット
少ない力でスムーズに対象物を切断できる
超音波カッターは超音波を利用して刃に振動を伝えるため、切断時の抵抗が少なく済みます。そのため、強い力を加えなくても対象物を切断できます。特に女性や高齢者だと段ボール、プラスチック、ペットボトルなど厚みがあるものや硬いものを切断するのは大変ですが、超音波カッターを用いれば少ない力で切断できることをより実感できるはずです。
カッターよりも切り口がきれい
超音波カッターは切断時に力を加える必要がないため、切り口がとてもきれいです。少し厚めの素材をカッターナイフで切断する際に、強めに押しながら切ると切り口が潰れたり、反ったりしてしまいますが、刃の移動がスムーズに行える超音波カッターならそういった心配はありません。超音波カッターの切断面のきれいさはプラモデルやDIYなどで重宝するはずです。
超音波カッターのデメリット
カッターの刃で切れるものにしか使えない
厚みのあるものや硬めのものも容易に切断できる超音波カッターですが、実はどんな素材も切断できるわけではありません。たとえば板硝子や石材、金属のようなカッターの刃で切れないものは超音波カッターでも切断できないのです。一方、カッターの刃で切ることができるものの、強い力が必要だったり切断に時間がかかったりするペットボトルや樹脂などにはその威力を発揮してくれます。
切れ味が良い分怪我のリスクが高い
超音波カッターは少ない力でもスピーディーに切断できるため、うっかり手元が狂うと自分の手まで切ってしまう危険があります。カッターナイフよりもさらに慎重に扱うことを心がけましょう。しかし、スイッチを押している間だけ刃が振動するモデルならば手を離せば動きが止まるので安全性が高いです。初めて超音波カッターを使用する場合にもおすすめです。
超音波カッターの選び方
使い道で選ぶ
長時間使用するなら連続稼働時間の長い業務用
業務用の超音波カッターは連続運転時間が長いのが特徴です。連続運転時間が短いと熱を持った本体を冷やすための時間が必要となりますが、業務用なら冷却時間をとる必要がありません。プラモデルや模型を毎日のように製作したり、休みに長時間集中して製作したりするなら、作業効率の良い業務用を選びましょう。ただし、業務用は高価なモデルだと100万円を超えることもあるので、できるだけ低価格で性能が良いコスパの高いモデルがおすすめです。
短時間のみの使用ならホビー用
ホビー用の超音波カッターは、連続運転時間が10分ほどと短めなのが特徴ですが趣味で使う分には問題ありません。もちろん切断能力も十分備えています。また、5万円以下で購入できるモデルも多く、業務用に比べて安価なのも嬉しいです。初心者でも試しやすい価格と言えるでしょう。なお、ホビー用は本体サイズもコンパクトなので保管時も邪魔になりません。
スイッチのタイプで選ぶ
片手で作業するなら手元スイッチ
カッターを持つ部分にスイッチがある超音波カッターなら、手元でオンとオフを切り替えられます。片手で作業する場合には手元スイッチのタイプを選ぶと便利です。さらに作業が終わったらすぐに手元で電源を切れますし、手元に集中しながら作業ができるため安全性も高いと言えるでしょう。超音波カッター初心者にも扱いやすいです。
両手で作業するならフットスイッチ
足元にスイッチがある超音波カッターは、足で操作して電源のオンとオフをします。フットスイッチのタイプは両手が自由に使えることから、両手で作業をする場合に最適です。また、作業のスピードを重視する際にも、フットスイッチなら効率よく進むことでしょう。ただし、フットスイッチ式は業務用モデルに多いため価格が高めです。
機能で選ぶ
安全面を考慮するならスイッチを押している間だけ作動するタイプ
超音波カッターは作業中に手元が狂うと、手や周囲にあるものが切れてしまう危険があります。カッターナイフに比べると刃先が少し触れただけでも深く切れてしまうので要注意です。しかし、スイッチを押している間だけ刃が振動するタイプなら、スイッチから手を離せば作動が止まるため安全性が高いです。一方で作業中はずっと電源を押し続けなくてはならないことを理解しておきましょう。
プラスチックを切断するならTAF回路を搭載したタイプ
超音波によって刃を振動させた摩擦熱で切断するという超音波カッターの特性から、プラスチックのような熱で溶ける素材だと切断面が溶けて汚くなってしまうことがあります。特にプラモデル製作で切断面が汚いのは嫌ですよね。しかし、TAF回路搭載モデルの超音波カッターなら、素材によって出力を自動で調整してくれるため、摩擦熱の発生を最小限にとどめてくれます。つまり、TAF回路を搭載しているモデルなら切断面をよりきれいな状態にできるというわけです。
超音波カッターのおすすめブランド・メーカー
本多電子
超音波機器を幅広く取り扱いしている
本多電子は愛知県に本社を置く超音波応用機器メーカーです。超音波カッターだけでなく、魚群探知機や医療用超音波画像診断装置などを製造し、幅広い分野で活躍しています。なお、本多電子とエコーテック株式会社は、親会社と子会社というグループ関係にあります。本多電子はホビー用でもプロ仕様に近い超音波カッターを製造しているため、機能性を重視する方でも満足いく使い心地を実現しています。
TGK
コスパの良い超音波カッターを製造
TGKは東京都に本社を置く理化学器機のパイオニアと言えるメーカーです。なお、正式な社名は東京硝子器械株式会社です。種類は少ないものの、性能が高い超音波カッターを比較的お手頃な価格にて販売しています。できるだけ低価格な超音波カッターを探しているなら是非候補に入れておくと良いでしょう。
スズキ
プロも満足の高性能モデルが人気
スズキ株式会社は静岡県に本社を置き、車やバイクの製造メーカーとして有名ですが、産業機器も取り扱いしています。超音波カッターはプロでも満足の業務用モデルを販売しています。性能にこだわる方は一度はチェックしておくべきメーカーです。
ソノテック
パワーにこだわったモデルを多く手掛ける
ソノテックは神奈川県に本社を置き、超音波を利用した加工機を数多く製造しているメーカーです。ソノテックの超音波カッターは小型ながら出力が大きいモデルが多いのが特徴。そのためさまざまな素材をスムーズに切断できます。DIYなどで切断したい対象物の種類が多い場合にもおすすめです。
おすすめ&人気の超音波カッターランキング
業務用でおすすめの超音波カッター
TGK-超音波ミニカッター KW-430C (151,800円)
簡単な操作で扱いやすいコンパクトモデル
フットスイッチ式なので両手での作業が可能で、細かい部分の切断も容易に行えます。両手が使える分作業効率も良いはずです。発振器は175×285×160Hmmとコンパクトなので卓上に置いても邪魔になりません。
カッター刃を1秒間に約4万回振動させることで、切断面もなめらかな仕上がり。操作方法は電源を入れてフットスイッチを踏むだけと簡単です。出力調整も可能なので、材質によって使い分けることで作業もスムーズに行えます。
スズキ-SUW30CTL (169,544円)
長めの刃が繊細な作業を可能にする
全長28㎜と長い刃で作業できるのが特徴。刃が長いと手元が見やすくなるので、細かいパーツの切断も容易になります。また人工芝や毛足の長いカーペットのような切断箇所が見にくい素材に使うのにも適しています。
フットスイッチ式なので両手を使う繊細な作業も可能です。また、オプションで溶着刃も用意されていて、プラスチックの破損した箇所を修復するのにも便利です。1台でさまざまな用途に対応できる便利なモデルです。
スズキ-超音波カッター SUW-30CT(190,476円)
高性能な切断能力を有するコスパの高いモデル
フットスイッチ式なので両手を使いながらの作業におすすめのモデルです。発振器の本体サイズはW180×D175×H79(mm)、重さは約1.6kgと運びやすいサイズです。また、オプションの溶着用ハンドピーズを利用すれば樹脂製の素材をくっつける作業も可能。
刃の振動数が毎秒40,000回と多いため、厚みのある素材でもスムーズにカットができます。ちなみに段ボールなら1秒間で約30mm、アクリル素材なら1秒間で約5mmの切断が可能です。ハンドピース自体も0.1㎏と軽量なので作業も楽に進みます。
ソノテック-超音波カッター SF-30.HP-660 1S(294,151円)
航空機部材の加工シーンでも使用されている実力派
発振器の本体サイズはW170×D180×H78mmで、重さ1.5kgと軽量で持ちやすいモデルです。また、航空機部材の加工シーンでも使用されている実績があります。振動周波数は1秒間に40,000 回 、振幅 30μと超音波高速微小振動の効果を最大限発揮できます。
ハンドピース自体も150gと軽量なので、手が疲れにくいのが特徴。さらにハンドピースのコードが4mと長いので発振器から離れた場所でも作業が可能です。専用の角頭ネジとドライバーで簡単かつ確実に工具を取り付けられるので安全。
ソノテック-超音波カッター SF-653.HP-653(607,750円)
長時間の作業が可能な高性能モデル
発振器の本体サイズは230W × 232D × 144Hmm、量さは4.6kgと超音波カッターのなかでは大きめなモデル。しかし、その分ハンドピースコードが5mと長いので発振器を移動させる必要はほとんどないでしょう。出力調整は無段連続可変式を採用しているため材質に合わせた細かい調整が可能。
高価なモデルですが、各種新素材による複合材からゴム、皮革など幅広い材料を自由自在にカットできる優れもの。独自開発のパワー制御回路と空冷用エアー注入口が発熱を抑えてくれることで、長時間の連続使用を可能にしています。製作に没頭したい場合でもストレスなく作業がはかどります。
ホビー用でおすすめの超音波カッター
本多電子-超音波カッター USW-334 本多電子 (38,280円)
収納もしやすいコンパクトな超音波カッター
ハンドピースホルダー付きで保管時も安全なモデルです。ハンドピースコードは0.5mのカールコードで短めですが、発振器本体は134×127×71mm、重さは420gとコンパクトなので本体自体の移動も苦になりません。また、ハンドピースも120gと軽量です。
ホビー用でありながら毎秒40,000回の高速振動が可能なので、弱い力でもスムーズかつ簡単に切断可能。樹脂製品なら厚さ3mm以下への使用を推奨しています。なお、切断速度は厚さ3mmの樹脂製品で、3秒間に約1cmとなります。
エコーテック-超音波カッターZO-30プラ (24,500円)
安全性が高く初心者にもおすすめ
リーズナブルでありながら切断時に大きな力が加わると、超音波振動を停止する安全性の高いモデル。そのため初心者にも利用しやすいです。また、ハンドピースホルダー付なので保管時の事故を防いでくれます。
発振器本体はサイズが173W×89D×76Hmm、重さ約360gなので女性でも軽々持ち運べます。刃が1秒間に約40,000回振動し、スムーズに作業ができるうえ切断面もきれいです。手元のスイッチで電源のオンとオフができて扱いやすいのも魅力。なお、切断可能な樹脂板の厚さは3mm以下です。
エコーテック-超音波カッター ZO-41II(43,800円)
ハイパワーでありながら安全性も高い
ノーマルモードとハイパワーモードという2つのモードを搭載しているモデル。厚みのある素材や硬めの素材はハイパワーモードが活躍します。また、ハンドピース内の温度が上昇すると停止する保護センサーを搭載しているので、熱による破損を回避できます。
電源を立ち上げる時に、ボタンを押し続けている間だけ作動するか、一度ボタンを押せば10分間作動するかといった操作方法を選択できるのも特徴。ボタンを押し続けていると作業しにくいという場合には、一度ボタンを押せば10分動作する方法が便利です。停止させたいときはもう一度ボタンを押すだけです。
ごんた屋-超音波カッター R31-GONTA (46,860円)
幅広い用途に合うロングブレードが特徴
一般模型工作やテールレンズ加工という幅広い用途を想定し、本多電子と設計した超音波カッター。刃渡りが長めのロングブレードを標準装備しているため、厚みのある素材も楽に切断できます。また、切れ味も抜群で切断面もきれいです。
溶着専用刃も付属しているため、プラスチック製品の補修も可能です。接着剤で修復できなかったものも捨てずに済むでしょう。プラモデルやフィギュアの製作、車両のテールレンズ加工、軽量木材の加工などで活躍しますが、オプションの替え刃を使用すればさらに用途が広がります。
エコーテック-ホビー用小型超音波カッターZO-40レジン (40,480円)
使いやすさと切断スピードのバランスがとれたモデル
ハンドピースのスイッチを押している時だけ動作するモデル。面倒な操作が不要なので機械操作に不安がある場合にも安心です。また、力を入れすぎると超音波を停止する機能を搭載しているため、最適な力加減で作業ができます。
エコーテックのホビー用超音波カッターZO-40W、ZO-40Bの後継機種として登場したモデルで、2機種に比べパワーアップ。実際に切断スピードが4%向上しています。レジンキャスト(模型)作業を目的に開発されていますが、段ボール工作や自動車のテールランプ加工など幅広く利用することができます。
エコーテック-ホビー用超音波カッター ZO-80 (94,850円)
業務用に劣らない高性能が魅力
ホビー用超音波カッターとしては最高の切れ味と言えるスーパーハイモードを搭載したモデル。業務用に劣らないホビー用超音波カッターを探している方におすすめ。パワー切替はノーマルモード、ハイモード、スーパーハイモードの3段階あり、切断スピードが自由自在。
1年がかりで新規設計した超音波振動子は、切れ味が良いだけでなく温度も上がりにくいのが特徴。さらに入出力を追加予定のため、外部からの制御や外部への状態出力を可能にしました。今後予定されている入出力オプションは、モード切替の入力や異常信号の出力、フットスイッチなどがあります。
スズキ-超音波カッター SUW-30CD (211,068円)
材質に合わせた替え刃を選べる
替え刃の種類が豊富なのが特徴の超音波カッター。手元で操作ができるハンドスイッチ式なので片手での作業に最適です。発振器のサイズは180×175×76mm、重さ1.6㎏なので卓上でも邪魔になりません。
オプションの替え刃が4種類あり、それぞれ刃の厚みや長さが違うため素材の厚さや硬さに合わせた刃を選択できます。ただし、6分使用で4分休止と断続的な利用を推奨している点に注意。一方で毎秒40,000回の超音波振動を実現しているため作業効率は高いです。
TAF回路搭載でおすすめの超音波カッター
エコーテック-超音波カッター ZO-41 (49,764円)
作業効率重視のハイパワーモード搭載
ノーマルモードとハイパワーモードの切り替えによって、出力を調整できるモデル。さらにTAF回路を搭載しているため、材質に合わせて最適な切断が叶います。ただしハイパワーモードは5分程度でオーバーヒートするので、普段はノーマルモードを使用すると良いです。
一度ボタンを押すとノーマルモードで10分動作するので、作業中にボタンを押し続ける必要がありません。また、ハイパワーモードを搭載したことにより振動子が熱破損するのを防ぐため、ハンドピース内の温度が上昇すると停止するよう保護センサーを搭載。温度が上がりすぎないか心配せず安心して利用できます。
エコーテック-超音波カッター ZO-41II(43,800円)
操作方法が選べて利便性が高い
上記で紹介した超音波カッターZO-41の後継機です。ボタンを押し続けて作動するか、ボタンを一度押すだけで作動するかを選択できるようになったのが、ZO-41との違いです。もちろんTAF回路は搭載しているため、プラスチック切断時も溶けにくいので安心です。
ノーマルモードとハイパワーモードの2つの出力方法を選択できるので、超音波カッターを使った経験がある方でも切れ味に満足するはずです。これだけの機能が搭載しているのにも関わらず発振器サイズは173×89×76mmとコンパクト。また、ハンドピース自体も70gと群を抜いて軽量です。
エコーテック-ホビー用超音波カッター ZO-80 (94,850円)
プロ仕様にかなり近いモデル
ノーマルモード、ハイモード、スーパーハイモードの3段階のパワー切替を実現した高機能モデル。スーパーハイモードはハイモードの1.5倍のスピードで切断きるため、製作したいものがたくさんがある場合にも最適。スピード重視で超音波カッターを探しているなら是非使ってほしい商品です。
切断スピードが速いだけでなく、TAF回路を搭載しているため切断面もきれいな仕上がりになります。また、入出力を追加予定のため、今後はフットスイッチの操作も可能。10分タイマー自動オフ機能や温度が上がりにくい振動子を採用しているなど安全面も優れています。
まとめ
用途に応じて使いやすい超音波カッターがおすすめ
超音波カッターは長時間の作業が可能な業務用や、趣味でも使いやすいホビー用があるので、どれくらいの頻度やどういった使い方をするかで選ぶのがおすすめです。また、初心者ならボタンを押している間だけ作動するタイプが扱いやすいです。プラモデル製作など溶けやすい素材で仕上がりのきれいさを重視するならTAF回路を搭載しているかどうかも重要です。用途や価格などを踏まえて最適な超音波カッターを見つけましょう。