きちんと手入れされた綺麗な靴を履いていると、周囲に良い印象を与えるだけでなく、履いている自分自身も気分が良いものですよね。愛用の靴を良い状態に整え、長く付き合って行くための日々のシューケアに欠かせないのが、靴ブラシです。靴ブラシと一口に言っても用途や目的によって様々な種類がありますので、今回は、おすすめの靴ブラシを種類別にランキング形式でご紹介します。これから靴ブラシを揃えたいと考えている方も、手持ちのシューケアアイテムを見直したい方も、是非参考にしてみてくださいね。
靴ブラシの特徴
毎日のシューケアに欠かせないアイテム
そもそも、シューケアの目的には、靴の汚れを落とし見た目を綺麗に保つことと、靴を長持ちさせる為に栄養補給することの大きく分けて2つが挙げられます。そのどちらの作業にも必要なのが、靴ブラシ。使用されている毛の種類によって用途が異なり、目的に合わせて適切な靴ブラシを用いることで、正しいシューケアで靴の状態を整えることができます。
靴ブラシの種類
馬毛ブラシ
靴全体の汚れを落とす
馬毛の靴ブラシの用途は、シューケアの始めに靴全体の埃や汚れを落とすことと、最後の仕上げのブラッシングです。細く柔らかい馬の毛は、表面に付いた埃はもちろん、縫い目に入り込んだ細かなごみも掻き出します。汚れが残ったままクリームを塗りこんでも効果が半減しますので、シューケアの始めには力を入れてしっかりと靴全体にブラシをかけて下さい。
仕上げのブラッシングは、塗り込んだクリームをより深部にまで浸透させ自然な艶を生み出すことが目的です。クリームが表面にしか乗っていない状態では、すぐに取れてしまう上、余分なクリームが残っていると艶が出過ぎて不自然な仕上がりになってしまうのです。馬毛ブラシで最後に磨きをかけることで、仕上がりの美しさに違いが生まれますよ。
豚毛ブラシ
クリームを塗り込むのに便利
豚毛のブラシは、靴の汚れを落とした後クリームを塗り込むのに使います。馬毛と違って固く鋭い毛質の為、均一に力を掛けやすく、万遍なくクリームを塗り込むのに適しているのです。また、豚の毛そのものに油分が多く含まれている為、クリームを手持ちでない場合には豚毛ブラシでブラッシングするだけでも艶が与えられますよ。
豚毛ブラシは主にクリームを塗り込むのに使用するので、クリームの色ごとに使い分けられるよう準備しておきましょう。一つのブラシを使い回ししていると、他の色のクリームが移り見栄えがくすんできてしまいます。手持ちの靴の色にもよりますが、黒用と茶用だけでも用意しておくのがおすすめです。
山羊毛ブラシ
細く柔らかく上質な仕上げに最適
山羊毛ブラシの特徴は、何と言ってもその柔らかさです。化粧ブラシにも使われるほど先程細くて柔らかく、仕上げ磨きで靴の表面にしっとりとした艶を与えてくれます。馬毛ブラシを最後のブラッシングに使用することもありますが、馬毛よりも格段に細く繊細な山羊毛ブラシを使用することで、仕上がりの艶がワンランクアップします。
特に、鏡面磨きと言って、靴のつま先とかかと部分を中心に光沢を出すためには、表面に傷をつけないほど柔らかい山羊ブラシはもってこいです。ただし、山羊毛ブラシは他のブラシと比べて少々価格が高くなります。そのため、一通りの靴ブラシを揃えて、更にこだわったシューケアをしたいという方におすすめのブラシと言えます。一度使えば、その仕上がりの違いが病みつきになりますよ。
化繊ブラシ
安価で使い勝手がよく初心者におすすめ
主にナイロンで作られている化繊毛ブラシの特徴は、まず、人工的に作られているからこそ品質にムラが無く均一なことです。毛の細さや腰の強さも一定なので、使い始めから艶が出しやすくなっています。馬毛と豚毛の中間的な質感で、全体の汚れ落としからクリームの塗布にまで万能。
さらに、天然毛のブラシに比べ抜け毛が少ないというメリットもあります。耐久性が良く丈夫なので、アウトドアシューズなどの手入れにも。価格も比較的安価な物が多いので、まず手始めに日常使い出来るブラシが一つ欲しいという人にはおすすめです。
靴ブラシの選び方
サイズで選ぶ
大きめサイズは全体の汚れを落としやすい
用途別に靴ブラシの特徴を説明してきましたが、ここからは、実際に選ぶときのポイントを紹介していきます。まずは、大きさ。大小様々なブラシがありますが、実際に握ってみて自分の手に収まりが良い物を選ぶのが一番です。ただし、小さいブラシではストロークの回数が多く必要になるため、迷ったら大き目サイズがおすすめ。ブラシの大きさで靴全体をカバーして、効率よく全体の汚れを落とすことができますよ。
部分用の小さ目サイズはクリームを塗るのに小回りが利く
クリームの塗布には、小さ目サイズのブラシがおすすめ。クリームの適量が分かりやすく、余分に塗り過ぎてしまうのを防ぐことができます。また、小さなブラシであれば、縫い目や底との接続部分、穴や飾部分など、細かい所にまで、しっかりとクリームを行き渡らせることができます。小さなブラシで靴全体にクリームを塗り込むのが大変な時は、始めにある程度の大きさのブラシでクリームを乗せておき、後から部分的に小さなブラシを使うなど、使い分けをするのも良いですね。
柄の形状で選ぶ
握りやすいのはひょうたん型
靴ブラシには、大きさだけでなくその形状にも様々な物があります。一般的によく見られる長方形から、小判型、歯ブラシの様に取手が付いているタイプなど。実際に比べてみるのが一番ですが、迷った時には、ひょうたん型が握りやすくおすすめ。柄の中央が細くくびれ両端に向かって広がるような形状が、手の平にフィットしやすいですよ。
やや薄めだと滑りにくく使いやすい
柄の部分の厚みも、握りやすさには重要なポイント。あまり分厚いと滑りやすい傾向があります。そのため、やや薄めの柄の方が握りやすく、力を入れずにブラッシングが出来るのでおすすめです。また、柄の全体が均一な厚みではなく、あえて所々厚みが変えられている物や、反り返るように湾曲させられている物もあるので、試してみるのも良いですね。
側面にくぼみがあると指が掛かりやすい
柄の側面にもいくつか特徴があります。何も加工されていないフラットな物もあれば、側面が内側に向かってやや細くなっている物も。これは、グリップ力を増し、指の力をブラシに伝えやすくするための工夫です。中でもおすすめは、側面にくぼみが付けられているタイプ。指が掛かりやすく、無理な力なしで一定にブラッシングが出来ますよ。
角の処理が滑らかなら使用ストレスがない
柄には木材を使っている靴ブラシが多いですが、この処理が雑だと、ブラッシングの度にストレスになります。さらに、角が鋭利に尖っていると、手の平への当たりが痛いだけでなく、誤って靴にぶつけた時に傷になってしまう恐れもあるので、注意が必要です。角が滑らかに処理されているか、表面にささくれは無いか、しっかりチェックしましょう。
毛足の長さで選ぶ
効率的なブラッシングには毛足長め
靴ブラシの毛足は、短い物だと20ミリ程度からありますが、35ミリから40ミリ程の長さの物が多く出回っています。全体の汚れを落とすのにおすすめなのは、毛足が長めのタイプ。可動域が大きくなるので、一度にたくさんの汚れを落とし効率的にブラッシングが出来ます。少ないストロークで作業出来た方が、ブラッシングの楽しみを感じられるというメリットもありますよ。さらに、縫い目や紐穴など細かい所に入り込むのにも、ある程度長さがあった方が良いでしょう。
コシの強さを重視するなら毛足短め
一方、毛足が短い靴ブラシには、腰が強いというメリットがあります。腰が強い方が表面をこする力が大きくなるので、クリームをしっかり塗り込むのには短めのブラシが適していると言えます。均一に力がかけられるため、ムラなく仕上げることが出来ますよ。また、短い毛足の方が使い込んでも摩耗しにくく、耐久性が高いのも特徴です。
毛の植え方で選ぶ
毛が抜けにくく耐久性に優れた手植え
靴ブラシには、毛を手植えしているタイプと、機械で植えているタイプの2種類があります。手植えはその名の通り、職人がひと穴ずつ手作業で植えており、毛が抜けにくく耐久性が高いのが特徴です。しかし、その分値段が高かったり、受注生産の為購入までに時間がかかったりする場合もあります。メーカーによっては、毛が摩耗しても植え替えてくれるなどアフターケアも充実しているので、良い物を長く使い続けたいという人には、手植えタイプがおすすめです。
手ごろな値段で手に入る機械植え
機械植えの最大のメリットは、品質が一定で、価格が抑えられるということです。手植えのブラシは5千円以上する物が多く1万円を超える物もある中で、機械植えであれば千円以下でも大手メーカーの物を購入することが出来ます。クオリティも高く、コストパフォーマンスが良い物が多いので、試しに靴ブラシを買ってみたいという人や、数を揃えたいという人にはおすすめ。
靴ブラシのおすすめメーカー・ブランド
コロンブス
日本の老舗シューケアブランド
創業100年を超える日本の老舗ブランド。日本人の手に合ったシューケアアイテムを、バリーエーション豊富に展開しています。比較的リーズナブルな価格帯で確かなクオリティに定評があるので、初めて靴ブラシを揃えたいという人から玄人まで、幅広い層におすすめのブランドです。
リーガル
初心者にも使いやすい使い心地
1960年代にアメリカから技術を導入。紳士靴の製造と販売を行っており、現在は日本を代表する靴ブランドとなっています。靴だけでなくシューケアアイテムにもディティールや素材へのこだわりが引き継がれており、その圧倒的な使いやすさは初心者にも人気です。
エム・モゥブレィ
英国王室御用達がルーツのトップブランド
メルトニアンという、かつて英国王室御用達であったクリームを基に展開されたブランド。その品質は、愛好家や一流靴メーカーからも一目置かれる程です。特に、化繊ブラシは、靴磨きの職人が多数愛用するほどのクオリティの高さです。
サフィール
初心者からマニアまで幅広い支持
パリの万国博覧会で金賞を受賞するなど、高い評価を受けるフランスの名門ブランド。特に、毛の品質、絶妙な密度と固さにはマニアからも定評があります。初心者にもおすすめで、一度使用すれば靴磨きの楽しさに目覚めるでしょう。
コロニル
圧倒的な品揃え
世界100か国以上で愛され続けているドイツの老舗レザーブランドです。環境にも配慮したものづくりを掲げており、あらゆるアイテムに対応できる品揃えの広さは圧巻。特に、馬毛ブラシはリーズナブルながらしっかりとしたつくりで、高い人気を誇ります。
おすすめ&人気の靴ブラシランキング
馬毛でおすすめの靴ブラシ
コロニル-馬毛ブラシsi8120 (1,666円)
日々のシューケアに使いたい握りやすさ
握りやすさに定評のあるブラシ。側面にあるくぼみに指が掛かってしっかりとグリップできます。また、柄の部分が少し反り返っているのが特徴で、手の平にフィットする絶妙なカーブになっています。
角も滑らかに処理されていて当たりが優しく、艶のある高級感が見た目にも嬉しいですね。サイズも大きめなので、楽に全体のブラッシングをすることが出来ます。しっかりとした毛質で抜けにくく、日々のシューケアに頻度良く使用できますよ。
エム・モゥブレィブ-プロホースブラシ PRO HORSE BRUSH
靴用ブラシ (1,320円)
プロにも人気の良質な馬毛
毛足の長さは22ミリとやや短めながら、丁寧に密に植え込まれており、細い毛先でしっかりと汚れを落としてくれます。良質な馬毛を100%使用しており、その毛質の良さはプロの折り紙つき。隙間なく密に植えられた馬毛が、細かな埃もしっかりキャッチしてくれます。
また、程良いサイズ感が握りやすく幅広い層から人気です。特に、幅の広さ、丁寧に処理された角の持ちやすさが、毎日のブラッシングに最適。オーソドックスで、かつ間違いない使用感の馬毛ブラシです。
コロンブス-ジャーマンブラシ2 (1,650円)
女性におすすめのコンパクトさと軽量さ
毛足が長くて柔らかく、細部にまで手入れが行き届きます。毛の密度が少し低くなっているので、優しい当たりで傷をつけずに安心して汚れ落としに使用できます。毛が抜けにくく、耐久性も高いブラシです。
また、ややコンパクトで非常に軽量なので、ブラッシングしていて疲れないという魅力も。柄の側面にはくぼみがあり、握りやすさにも配慮されています。柄の幅も程よく細身なので、女性にもおすすめです。
豚毛でおすすめの靴ブラシ
コロンブス-豚毛ブラシ (2,970円)
天然木を使用した握りやすさ抜群の持ち手
持ち手に天然の山桜を使用。高級家具にも使用される山桜は、そりが少なく耐久性や耐水性に優れています。適度なニス加工で手なじみが良いだけでなく、使い込むほどに濃淡のある木目の経年変化も楽しめるブラシです。
側面にはくぼみもあり、しっかりとグリップが利きます。毛足の長さは、短めの23ミリに調整。程良い密度で豚毛の腰と張りの強さがしっかりと生かされていて、クリームをムラなく塗り込むことが出来ます。
サフィール-アプライブラシ (880円)
適度な腰で細かなクリームの塗り込みに最適
取手付きで平たいタイプのブラシ。その形状と小ささを生かして、ハケのようにクリームを塗り広げたり、靴底との設置面や縫い目など細かい部分のごみを掻き出したりするのに適しています。手を汚さずにクリームを塗布することが出来るのがメリット。
クリームを吸収しにくい毛質で、無駄なく適量を塗布することが出来ます。あくまで部分使いがメインになるので、全体をカバーできる大き目の豚ブラシと併用するのがおすすめ。黒と白の毛色があるので、クリームの色に合わせて買い揃えたいですね。
リーガル-TY06 シューブラシ (990円)
握りやすさにとことんこだわったブラシ
1000円未満で購入できるブラシながら、良質な豚毛を100%使用。磨き上がりに綺麗な艶が出て、コストパフォーマンスがとても良いです。抜け毛が少なく耐久性が高いので、快適なブラッシングが長く楽しめますよ。
また、柄が独特に反り返っており、指の掛かりがとてもスムーズ。程良く手に馴染むサイズと幅で、力を入れずにブラッシング出来ます。側面にくぼみも入っており、握りやすさにとことんこだわって作られたブラシです。
山羊毛でおすすめの靴ブラシ
コロニル-ゴートヘアーブラシ 1909 (2,940円)
繊細な毛足でブラシ跡が残らない
馬毛よりも圧倒的に細くしなやかで、綿毛のような手触り。全体に軽くブラッシングするだけで、埃を落とし、ブラシ跡を残さず毛並みを整えることが出来ます。繊維との引っ掛かりもないので、革に負担をかけることなく、革の状態を整えられますよ。
サイズは手の平に収まる大きさ。側面にくぼみも入っていて、握りやすさにも工夫がされています。また、山羊毛ブラシの中ではリーズナブルな価格なので、初めて山羊毛ブラシを購入する人にもおすすめです。
コロンブス-ジャーマンブラシ9 (2,750円)
一段上の仕上がりを求めたいこだわり派に
毛の密度が高く、抜け毛が少なくて耐久性に優れています。最後のブラッシングに使用すれば、仕上がりの違いを実感できますよ。とても柔らかいため、あまり力を入れずにブラシを往復させるのがコツ。
鏡面磨きや、ダウンサイドポリッシュと言って更に立体感を出す磨き方など、玄人の求める細かな作業にも応えてくれます。通常のレザーはもちろん、エナメルやスウェードなど、繊細なレザーにも。馬毛のブラシを既に持っていて、一段上の仕上がりを求めたい人におすすめです。
化繊でおすすめの靴ブラシ
コロニル-ナイロン製ハードタイプブラシ (1,320円)
頑固な汚れも落とすアウトドア派におすすめ
先の尖った特徴的な形状のブラシ。硬めのナイロン毛で、靴底や縫い目に入り込んだ汚れをしっかり掻き出すことが出来ます。先端部分や持ち手の角を使えば、詰まった小石なども取り除ける優れもの。
乾いてこびりついてしまった泥なども取りやすいので、アウトドアシューズやワークブーツを持っている人にはおすすめ。柄の部分には頑丈なブナの木が使用されており、耐久性も高いですよ。大きさは16センチと、手に収まりやすいサイズ感です。
エム・モゥブレィ–R&D プロブラシ (1,100円)
握りやすくプロも愛用する化繊ブラシ
化繊毛ながら高いクオリティと天然毛のような風合いで、プロも愛用するブラシ。少し硬めで腰のあるナイロン毛は、クリームを塗り込んだり、仕上げ磨きをしたりと、幅広い用途に使えます。初心者も持っていると便利な一本です。
また、柄の部分にも工夫が。側面が内側に向かって細くくびれていて、持ちやすいようになっています。角の処理も滑らかで、手の平に当っても痛くありません。ストレスなくブラッシングが出来、広い層におすすめです。
エム・モゥブレィ-ミニブラシ (440円)
豚毛に匹敵する腰のある化繊毛
全長11センチ、毛足の長さも18ミリとミニサイズのブラシ。サイズは小さくても、豚毛に劣らない腰のある化繊毛で、クリームの塗り込みに適しています。品質はそのままに小さくなっているので、非常にコストパフォーマンスが高いですよ。
また、小回りが利くので、女性物の靴やパンプス、子供の靴のケアにも便利。外出用やオフィス用に、サブブラシとして購入するのも良いですね。白と黒の2色展開なので、クリームの色に合わせて使い分けもできます。
まとめ
馬毛と豚毛それぞれの靴ブラシを揃えるのがおすすめ
本格的なシューケアを始めるなら、汚れを落とし仕上げ磨きにも使える馬毛ブラシと、クリームを塗り込む豚毛ブラシは最低限揃えておきたいですね。あとは、手持ちの靴や求めるケアのレベルによって、山羊毛ブラシやクリームの色別用、細かい部分用など、徐々に集めていくと良いでしょう。出来れば購入の際は、握り心地や毛の質感などを実際に試してみてくださいね。今回は、おすすめの靴ブラシを用途別にランキング形式でご紹介しました。ライフスタイルに合った靴ブラシを揃えて、愛用の靴と末永く付き合っていきましょう。