レンズを交換して様々な雰囲気の写真を撮れることは、レンズ交換式カメラの大きな魅力です。いろいろなレンズの中でも超広角レンズは、一目見てわかる独特の写真が撮れます。しかし、広角レンズは上級者向けのイメージがあって、なかなか導入に踏み切れませんよね?そこで今回は、超広角レンズについて詳しく解説します。どんな写真が撮れるのか、どうやって選べばよいのか説明しますので、参考にしてみてください。
超広角レンズとは?
焦点距離24㎜以下のレンズ
「焦点距離」とは簡単に言うと、写真に写る範囲を示す数字のことを指します。数字が大きいほど狭い範囲が、小さいほど広い範囲が写真に写ります。焦点距離が35mm以下のレンズを広角レンズ、さらに広い範囲を移す24mm以下のレンズは超広角レンズと呼ばれ区別されます。
超広角レンズの特徴
人間の視界より広い範囲が写る
人間の視界と同じ範囲が写る焦点距離は50㎜と言われています。焦点距離が短い広角レンズは、人間の目では見えない範囲まで一度に写すことができます。さらに写る範囲が広い超広角レンズは、一眼レフらしさが出た印象的な写真を撮ることができますよ。
写真に奥行き感が出せる
超広角レンズは奥の被写体をより遠くに、手前の被写体をより近くに感じる効果があります。これを「パース」と呼び、写真に立体感を出すことができます。プロが撮った室内の写真は、目で見るより広い部屋に見えますよね?超広角レンズのパース効果で、奥行きが広く見えるのです。
超広角レンズの使い方・作例
旅行中の引きで撮れない巨大な建築物をすっぽり収める
例えばスカイツリーなどの大きな建物を標準レンズで取ると、フレームの中に入りきらないことがあります。画角が広い超広角レンズなら、全体をしっかりと写すことができますよ。さらにパース効果で、奥行きが強調されるため建物の大きさも表現できます。
F値の小さい明るいレンズで星空のシルエットをくっきり写し出す
F値とは、レンズがどれだけ光を取り込めるか、という性能のこと。数字が小さいほどたくさん光を取り込める、明るいレンズとなります。一般的な超広角レンズのF値はF3.5~F4が多いですが、現行ではF1.4が最も小さくなります。明るいレンズはシャッタースピードを速くできるため、絶えず動いている星をくっきりと写すことができます。超広角の明るいレンズは、たくさんの星をキレイに撮りたい人は特におすすめですよ。
超広角レンズの種類
フルサイズセンサー用(高画質で高価)
フルサイズセンサーは、現行のデジタルカメラで1番大きいセンサーです。センサーが大きいため、レンズの口径を大きく作りやすく、明るくて高画質なレンズが多いのが特徴。高画質な分高価なため、初心者の方は手を出しづらいカテゴリではあります。
構造上広角側に強いため、超広角の中でも焦点距離が短めのレンズが多いのが特徴。焦点距離10mmといったモデルもあり、インパクトのある写真を撮るならフルサイズ用を購入したいところです。将来作品をコンテストに出展したい方などは、初めからフルサイズ用レンズをそろえておくと後悔しません。
APS-Cセンサー用(入門モデルが多い)
フルサイズ用センサーより一回り小さいセンサー規格がAPS-Cです。センサーが小さい分本体がコンパクトで軽量な傾向があります。似たスペックのレンズで比較すると100g~200gは軽いのがメリット。フルサイズ用と比較するときに、焦点距離を1.5倍すると同じ条件になります。APS-Cの10mmはフルサイズ換算で15mmということです。
フルサイズ用よりも口径が小さいため画質では劣りますが、その分価格も安めで初心者が購入しやすいです。もちろん高画質な高級モデルもありますが、数は少なくなります。スマホやコンパクトデジカメとくらべれば、十分きれいな写真が撮れますので、画質に特別なこだわりが方にはおすすめ。
マイクロフォーサーズ用(軽量でコンパクト)
マイクロフォーサーズとは、オリンパスとパナソニックが共同で開発したセンサー規格です。上で紹介した2つのより小さいセンサーとなります。両社のレンズがそのまま使えるのが大きなメリットで、サードパーティー製のレンズもたくさん開発されています。
軽量コンパクトなのが大きなメリットで、軽いモデルでは100gを切るものも。比較的軽いAPS-C用でも200gを切るものはなかなかありませんから、100g以上の差になります。1日持ち歩くと疲労にかなりの差が出ますので、旅行で長時間持ち歩く方にはおすすめの規格ですね。
超広角レンズの選び方
ズーム性能で選ぶ
画作りにこだわるならズーム機能付きレンズ
「18-55mm」といったように、焦点距離を調整し、写す範囲を変えられるのがズーム機能です。この数字の場合、超広角から標準域までをカバーしているレンズということになります。1本で様々な画角をカバーできるため、同じ被写体でも複数の撮り方が可能。画面に入れたくない余計な被写体を、ちょっとズームして外すという微調整も簡単で画作りしやすいですね。
画質にこだわるなら単焦点レンズ
単焦点レンズはズーム機能が無いレンズのことで、18㎜ならその範囲しか写りません。使い勝手が悪そうに思える単焦点レンズですが、大きなメリットがあります。構造がシンプルなため、明るくて画質のよいレンズを作りやすく、安く手に入るのです。画角調整のために自分が動かなければなりませんが、キレイな写真を撮りたい方にはおすすめです。
便利な機能で選ぶ
夜景を撮りたいなら手ブレ補正機能
暗い場所では光が少ないため、シャッタースピードを遅くして光を多く取り込む必要があります。そのため手ブレが発生しやすくなります。旅行先の夜景など三脚が使えない状況では、手ブレ補正機能がおすすめ。レンズが手の動きと逆方向に動いてブレを打ち消してくれます。もちろん日中でも有効な機能ですから、いつでもブレの少ない確実な撮影が可能になります。
風景をたくさん撮るなら逆光耐性のあるレンズ
広い範囲が写せる超広角レンズで風景を撮ると、どうしても太陽がフレームに入ることが多くなります。太陽の強い光が入ると、フレアやゴーストと呼ばれるノイズが入りやすくなりきれいな写真が撮れません。そこで、風景をたくさん撮る方は逆光耐性のあるレンズを選びましょう。特殊なコーティングでフレアやゴーストを軽減してくれるためおすすめです。
通常の撮影とは別の視点から選ぶ
自撮りがしやすいスマホ用の超広角レンズ
最近はスマホ用の外付け超広角レンズも販売されています。クリップで簡単に脱着できるタイプもあるため、自撮りするときだけサッと装着することもできますね。記念撮影や旅行中に、大人数の自撮りをしてもみんな写すことができます。お手軽価格で購入できるものが多いので、まずはスマホ用で超広角レンズを体験してみるのも手ですね。
写真撮影以外の用途でも使える超広角レンズに対応した光学フィルターも
レンズ交換式カメラでは、レンズ用のフィルターを使って色の雰囲気を変えたり、光の乱れを軽減したりできます。しかし画角が広い超広角レンズは、フィルターの枠が写真に写り込んでしまうため取り付けられません。そのため、写り込まないように大きめの汎用フィルターが販売されています。専用設計ではないので、動画撮影用のカメラに使うなど、使いまわしができて便利ですね。
超広角レンズのおすすめブランド・メーカー
ニコン
入門用からプロ仕様まで揃う
ニコンの超広角レンズはズームに単焦点、5万円以下から10万円以上のハイエンドモデルまで一通り揃っている印象です。画質、フォーカススピード、重さなど、純正品らしく優等生モデルが多く使いやすいですね。
キャノン
プロ向け高性能モデルが豊富
最大手メーカーの開発力を活かした、高級で高性能なモデルが多いメーカー。ズーム全域でF値が変わらない「通しレンズ」が多くあります。写真の雰囲気を変えずにズームできるため、プロやカメラ通の方が好んで使います。
シグマ
リーズナブルで高機能
他社向けのサードパーティーレンズと、自社生産のカメラボディも造っているメーカーです。単なるコピーモデルではなく、独自の技術で画質にこだわるレンズをラインナップしています。純正と比べて価格が安いのも大きなメリットです。
タムロン
本数は少ないが最新モデルも
タムロンはコンパクトで軽量なズームレンズに強く、超広角レンズにもその技術を反映しています。ラインナップは多くありませんが、性能に対して価格が安く、コスパの良いモデルが多いですね。初めての超広角レンズにおすすめのメーカーです。
ソニー
超広角は高級モデルが多い
10万円以上の高性能レンズが多い印象ですね。AマウントとEマウントの2つの規格があり、互換性はありませんがアダプタを挟めば使いまわすことが可能。Eマウントはミラーレスもラインナップがあるため、一眼とミラーレス両方持っている方はEマウントがおすすめ。
ペンタックス
軽量な単焦点モデルが豊富
ペンタックスの超広角レンズラインナップは、単焦点レンズが多く選びやすいのが特徴。安くて、写りがいいのに安い単焦点レンズは、手に入れやすく初心者の方におすすめ。100g台の軽量モデルもあるので、とりあえずカバンに入れておくという使いかたもできますね。
おすすめ&人気の超広角レンズランキング
ニコン用でおすすめの超広角レンズ
ニコン-AF-P DX NIKKOR 10-20mm F4.5-5.6G VR(36,450円)
ニコンユーザーなら超基本の1本
フルサイズ換算で15~30mmの、超広角域をカバーしてくれる便利なズームレンズ。最小F値4.5と決して明るくはありませんが、3万円台で手に入るため最初の1本にぴったりです。これで練習して、画質を追求したくなったら次の1本を考えましょう。
この価格で手ブレ補正機能がついているのも嬉しいポイント。3.5段階シャッタースピードを速めることができます。夜景や、間接照明の建物内を手持ちで撮影するときに役立ちます。本体重量が230gと軽いので、普段は標準レンズを付けておいて、いざという時のためにカバンに入れておきやすいですね。
シグマ-20mm F1.4 DG HSM ニコン用(129,027円)
単焦点で最高レベルの画質
ちょっと値段は張りますが、F1.4の最高スペックを持っているハイエンドモデルです。大口径レンズで、光をたくさん取り込めるため星空撮影にも十分なスペックです。シグマではマウント交換サービスを行っており、将来ボディを他メーカーに買い替えても使えるのも大きなメリット。
HSMというハイスペックな超音波モーターを採用しており、フォーカススピードが速くシャッターチャンスを逃しません。街角をふらついて、猫の撮影などにも良さそうです。ボケ味も大きく出せるため、こだわりの作品作りにもしっかり応えてくれる1本です。
キャノン用でおすすめの超広角レンズ
キャノン-EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM(41,122円)
使いやすい初心者モデル
焦点距離はフルサイズ換算で16~29mm相当のレンズです。キャノンで超広角を撮りたいならまずはこれ、と言っていいほど基本を押さえた使いやすい性能ですね。手に入れやすい価格も、初心者の方に勧めやすいポイントです。
リアフォーカスと呼ばれる方式を採用し、ピント合わせ時にレンズが伸び縮みしないのが特徴。レンズをぶつけてしまう心配がありません。オートフォーカスしたあと、ピントリングを回すだけでマニュアルに切り替わります。微調整か可能で、上級者の方でも納得の使い心地ですね。
キャノン-EF 17-40mm F4L USM(88,940円)
幅広い焦点距離で自由な画作りを
17mmの超広角域から40mmの標準域まで幅広くカバー。普段のスナップ撮影から、広大な自然を写すなど様々なシーンで思い通りの写真を撮れるでしょう。475gとフルサイズ用レンズとしてはかなり軽いのも、気軽に持ち出せてグッドですね。
キャノンの高級レンズシリーズであるLレンズを使用しており、画面の隅々まで鮮明に描写します。USMという上級クラスのモーター採用で、オートフォーカスのスピードが速く撮りたい瞬間を自在に切り取ることができます。
タムロン-17-35mm F/2.8-4 Di OSD キャノン用(70,470円)
フルサイズ用の基本的な1本
上で紹介したレンズの上位互換と言ってもいいレンズで、2本目のステップアップにおすすめです。焦点距離も17~35と広く、画作りがしやすいですね。望遠側の35㎜はスナップ撮影やポートレートにも使いやすいので、つけっぱなしで持ち歩いてもよさそう。
簡易防滴構造を採用していて、突然の雨でちょっと濡れても問題ありません。滝つぼなど水辺での撮影も安心して行えますね。レンズに防汚コート加工もしてあり、水滴がついてもふき取りやすくなっています。
ソニー用でおすすめの超広角レンズ
ソニー-E 10-18mm F4 OSS(74,500円)
長く使える万能広角レンズ
最初の1本としては少し高めの価格ですが、使いやすいスペックで中上級者になっても活躍できるレンズです。フルサイズ換算で15~27mmの一般的な画角で使いやすいですね。いわゆる「通しレンズ」で、15~27mm全域F4で撮影できます。画角を変えても写真の雰囲気を維持することができるのがメリットです。
円形絞りと呼ばれる高級機種に採用される機構で、美しいボケ味を出すことができます。4段手ブレ補正機構も搭載され、死角のない万能レンズとしてどんなシーンでも活躍しそう。225gと非常に軽く、旅レンズとしてもおすすめですよ。
シグマ-16mm F1.4 DC DN ソニーEマウント用(42,840円)
F1.4がお手頃価格で手に入る
F1.4の最高スペックを持ちながら、4万円台で手に入る驚きのレンズです。純正ならありえない価格を実現できるのもシグマの強みですね。最短撮影距離も25cmと近くまで寄ることができ、グルメ写真にもおすすめのレンズです。
価格を抑えているぶん、手ブレ補正がついていませんがF1.4と明るいので、絞り開放ならブレにくいです。何よりボケを活かした一眼らしい写真を簡単に撮れるのが大きな魅力。ミラーレスカメラにも使えますので、そちらもどうぞ。
オリンパス用でおすすめの超広角レンズ
オリンパス-M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6(50,440円)
小型軽量の広角ズーム
35㎜換算で18~36mmの広い範囲をカバーするレンズです。マイクロフォーサーズ用レンズの1番のメリットは軽さです。重量は155gしかありません。焦点距離が同じくらいのフルサイズ用レンズは400~500gが多いですから、半分以下の重量ですね。
レンズの先端から15cmまで被写体に寄れるため、奥行き感を強調したダイナミックな写真が撮れます。コンパクトなボディですが、マニュアルフォーカスのリングもついていてこだわり写真もラクラク撮影。初心者さんから上級者まで、幅広くおすすめのレンズですよ。
オリンパス-M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO(123,500円)
最高画質のプロ仕様レンズ
全ての性能が最高レベルのPROシリーズが誇る高画質レンズです。フルサイズ換算で14~28mmの超広角域をカバーします。焦点距離全域でF2.8と非常に明るく、撮影シーンを選びません。防塵防滴構造で悪天候時の撮影も問題なし。
瞬時にマニュアルフォーカスに切り替え可能な「MFクラッチ機構」で操作性も抜群。ファンクションボタンが1つ搭載され、27種類の機能から好きな機能を割り当てられます。自分にあわせてどんどん使いやすくカスタムできます。上級者になっても末永く使える性能ですから、予算に余裕があれば、最初から手に入れるのもいいですね。
ペンタックス用でおすすめの超広角レンズ
ペンタックス-DA 12-24mm F4 ED AL [IF] (62,274円)
超広角域で歪みの少ない描写
フルサイズ換算で18.5~37mmのレンズです。広角側で画面の歪みが出やすいズームレンズの弱点をカバーしているのが特徴です。非球面レンズを使用していて、画面の端まで歪みが少ない自然な写せるのが魅力ですね。
超広角ながら、2倍相当の広いズーム範囲で、自由な画作りが可能。ズーム倍率に比例して重量は重くなりがちですが、430gと軽量級に仕上がっています。ペンタックスユーザーなら必ず候補に入れたい基本の広角ズームですね。
タムロン-10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD ペンタックス用(30,527円)
基本を押さえた良コスパレンズ
フルサイズ換算で16~37mmの幅広い焦点距離はズームに強いタムロンならでは。2倍を超えるズーム倍率で、440gの軽量ボディに収まっているのもさすがですね。手ブレ補正機能にマニュアルフォーカスなど、欲しい機能がしっかりと詰まっています。
これだけの機能が揃って、3万円強で手に入るのは驚きですよね。初心者の方がまず手に入れて、どんどん使って練習するのにピッタリ。簡易防滴機能も付いているので、天候を気にせず持ち出せるのもいいですね。
まとめ
自分に合った機能と性能のレンズを選ぼう
超広角レンズと一言で言っても、いろいろな性能のレンズがありますね。同じ焦点距離のレンズでも、搭載している機能によって使い勝手は大きく変わってきます。ご自身の使いかたや、撮りたい写真をしっかり検討して、超広角レンズを使いこなしてくださいね。