今や老若男女問わず広まっているDIY。ホームセンターでも様々な木材が販売されており、DIY専門の雑誌も刊行されています。自宅で工作する場合、あると便利な工具のひとつに電動ドリルが挙げられます。電動ドリルの口コミやレビューは数あれど、木材を削るドリルの評価は少ないもの。今回はおすすめの木工用ドリルを、ランキング形式でまとめました。使用用途に応じてドリルを選べば、作業効率も格段に向上します。使いやすい逸品を見つけて、素敵な作品を手掛けてみて下さい。
木工用ドリルの特徴
木材加工に適した素材と形状で作業効率が向上
ドリルには大きく木工用と鉄工用に分かれており、加工対象に応じて様々なドリルが販売されています。木工ドリルは木材加工を目的として作業しやすい構造となっており、鉄工等と比べて素材が柔らかいため、安価なスチール製のものが主流。ドリルの長さ、直径によって加工サイズが変わるため、購入前に仕上がりを見据えた検討が必要です。
先端の形状によって加工方法を変更することが可能
木工ドリルはただ単に穴を開けるだけでなく、先端の形状を選ぶことで多様な加工をほどこすことができます。ねじやビスのガイドとなる下穴用、皿ビスが綺麗に収まるよう面取りができる皿取り用の他、金属部品を用いず接続できるダボを取り付けるためのダボ穴用などがあります。それぞれの特徴を踏まえて使えば、ひとつ上の仕上がりが期待できますよ。
木工用ドリルの種類
穴開け用
木工錐や下穴錐など穴開けしやすい構造で作業効率向上
木工用ドリルで最も数が多い種類が穴開け用です。先端にねじ切り加工が施されているものもあり、木材をしっかりと捉えるのでズレが少なく力を込めなくても穴開け加工が可能。下穴錐はその名の通り、釘やビスのガイド役の下穴を開けることに適したドリルです。一見手間にも思える下穴加工ですが、あるとないとではその後の作業効率が格段に変わります。
穴開け用は木工ドリルの中で最も多用する種類であり、初心者からプロまで幅広く使用できるドリルです。先端形状によって深い穴を開けやすい先ネジ、滑りやすい竹素材等でも穴開けしやすい鋭角タイプなど様々な種類があります。下穴用は固めで釘やビスが入りにくい素材や、木割れしやすい素材に使うと失敗が少なくなり綺麗な仕上がりに。シンプルな機能だからこそ奥深いドリルになります。
加工用
家具や家屋加工であると助かるダボ穴加工用
木を素材とした作品の場合、時には金属である釘やビスが目立ってしまうことも。そこで同じ木材を使用した「ダボ」と呼ばれる接続部品を使うことがあります。ダボを取り付ける穴を開けることに特化しているのがダボ穴用ドリルです。ダボは接続のためだけでなく、金属部分を隠すような応用方法もあります。ダボを使うことですっきりとした仕上がりに。
ダボ穴用は穴開け用と違い、貫通させずにくぼみを作ることが重要となることも。穴開け用は貫通しやすいよう工夫されていることに対し、ダボ穴用は微調整がしやすいよう短めに設計されていることが特徴です。戸棚を支える金属ダボ用の穴を開けることもできるので、発想次第で多様な使い方ができるドリルとなっています。
木工用ドリルの選び方
加工用途に合わせた先端形状で選ぶ
貫通させてネジ穴や下穴を作るなら先ネジが付いているものを
鉄工用ドリルであれば素材は違えど先端角118度のものが一般的ですが、木工用ドリルの先端については用途に応じて様々な種類があります。先ネジがあるドリルは力を込めなくてもネジの力で掘り進んでいくので、電動ドライバーに取り付けても楽に穴開け可能。厚みのある木材や加工箇所が多い場合に役立つ形状となっています。
ダボ穴や細かい作業なら先三角やダボ錐を
貫通だけでなく、止め穴加工に適している先三角タイプ。力を入れずに進んでいく先ネジタイプと違い、力を入れた分だけ加工できるため接続部品に応じた長さに調整ができます。ダボを取り付ける際に作業しやすいのがダボ錐タイプ。取り付けるダボのサイズに合わせてストッパーを調整することで、削り過ぎる失敗がなく安心して作業ができます。
取り付ける工具で選ぶ
作業負担を軽減するなら電動ドリルを用いて効率アップ
DIYの代名詞とも言える電動ドリル。取り回ししやすいため、様々な加工に適しており作業効率も格段に向上します。ドリルの固定方法はドリル、キーレス等のチャック方式の他にワンタッチで固定できるスリープ方式があるため、固定方式に応じてドリルを選ぶ必要があります。適合する固定方式でないと電動ドリルやドリルを痛めてしまうことがあるため、注意が必要です。
小さな作品など精密作業が必要となる部分にはハンドドリルを
ハンドメイド作品など、細かい作業に適している工具がハンドドリル。電動工具はパワーがあるものの細かな加工はしづらいですが、ハンドドリルでは細部まで微調整がしやすいことがメリットです。ドリル径は0.5mmから3mmのものが多く、電動ドリルでは接続できないものもあるため注意が必要です。小さい部品を加工するため、怪我には十分注意しましょう。
太さで選ぶ
用途にあった太さかどうかを確認
木材に固定金具を通すため、木工ドリルで穴開け加工を施す機会も多いことでしょう。ビスやボルトには大小さまざまなサイズがあり、1mmでも穴の径が違うと金具を通すだけでも四苦八苦することも。金具のサイズに合ったドリル径を選ぶようにしましょう。中には金具サイズがミリではなくインチ設定の場合もあるため、ドリル購入の際に実際の金具を持参するのもひとつの方法です。
様々なサイズがセットになったものなら使い分けができて便利
ドリルの販売形態として1本ずつ購入できるバラ売りと、サイズ違いのドリルがセットになったものがあります。セットで購入すれば金具サイズに合わせて付け替えが出来る他、万が一破損してしまった場合でも他サイズで代用できることも。1セットあれば幅広く対応できるため、加工方法に迷っていたり他にもバリエーションを増やして作製したいものがある場合にお勧めです。
木材のサイズで選ぶ
コンパネやベニヤなど薄板加工なら150mmまでの長さを
ホームセンターで見かけるベニヤ板はサイズも様々ですが、厚みについては2.3mmから30mm程度、多くは3mm刻みで販売されています。薄板であれば加工時のドリル抵抗も少ないため作業しやすい素材です。ドリルサイズも150mm以内であれば取り回しもしやすく作業効率も向上。ただしサイズによってはドリル抵抗によって素材自体が回転してしまう危険があるため、固定はしっかりと行なっておきましょう。
2×4など厚みのある木材を加工するなら200mm以上を
昨今、人気を博しているのが2×4素材を用いたDIYメニュー。厚みは38mm、幅は89mmあるためショートサイズのドリルでは貫通しきらないこともあります。200mm以上のドリルであれば素材を重ねた場合でもしっかりと加工することが可能。ただしドリルの長さが長いほど加工時の抵抗も強くなるため、素材・工具ともしっかりと支えた上で危険のないよう作業を行いましょう。
木工用ドリルのおすすめブランド・メーカー
スターエム
国内シェアNo.1が排出する幅広い製品の数々
2023年で創立100周年を迎える木工ドリルメーカー老舗のスターエム。日本が世界に誇るメーカーとして木工用ドリルでは国内シェア70%を占めており、国外にも進出しています。木工ドリルの種類も多岐に渡り、王道から痒い所に手が届くものまで広く取り揃えられています。
BOSCH (ボッシュ)
ドイツが世界に誇る工具メーカー
電動工具で有名なBOSCH。周辺パーツとしてドリルも手掛けています。堅実な作りと耐久性に定評のあるメーカーで、製品は日本でも多く流通しています。ドリルは鉄工・木工の両方とも対応できる汎用タイプが多く流通しています。
SK11(エスケー11)
多くの工具を見てきた商社のプライベートブランド
スターエムと同じく刃物の町・兵庫県三木市にある藤原産業。スタンダードブランドであるSK11は、廉価版のE-Valueとともに馴染みのあるブランドです。木工用ドリルだけでなくボアビット等加工のための工具アクセサリも輩出しています。
高儀
江戸時代から続く伝統のノウハウで世界に羽ばたく
創業150年を超える老舗である高儀。洗練された技術から生み出される工具は、どれも逸品です。自社ブランドEARTH MANから木工用ドリルが販売されています。先ネジ・下穴用ドリルを中心に、質の高いドリルが取り揃えられています。
おすすめ&人気の木工用ドリルランキング
穴開け目的でおすすめの木工用ドリル
スターエム-先三角ショートビット 14mm (902円)
シンプルだからこそどの素材にも使いやすい基本的ドリル
ホームセンターでもよく見かけるシンプルな形状を持った木工用ドリルです。洗練され、無駄を省いたシンプルさが導くのは圧倒的な使いやすさ。先三角の先端が素材をがっちりと掴むので、滑りやすい竹素材等にも適応しています。
DIY入門者からベテランのリピーターまで対象を選ばない使いやすさのため、まず最初に買って間違いない木工用ドリルです。穴開け加工はもちろん、ダボ穴加工にも用いることが可能。力を込めた分だけ削ることが出来るので微調整も可能です。
EB-SK11-DIY木工ドリル5本組 (1,559円)
加工方法に幅が拡がり長く使える径違いのセット
製作するものによって素材のサイズが変化するように、加工するサイズも変化していくもの。様々なサイズが揃ったセット販売の木工用ドリルであれば加工方法も幅が拡がります。先三角タイプなので素材の逃げを防ぎ、綺麗な仕上がりとなります。
セット販売の木工用ドリルは、DIYを趣味として様々な作品を手掛けてみたい方におすすめ。経年使用によってダボ穴が緩んできた場合、ひとつ大きなサイズの木工用ドリルで切り直すことで固定力を取り戻すことも出来ます。ネジより少し小さめの穴から開けてみると失敗しにくくなります。
BOSCH-木工ドリルビットセット (2,878円)
電動工具の名門BOSCHが手掛ける周辺アクセサリー
有名ブランドBOSCHがアクセサリーとして販売している木工用ドリルです。多様な電動工具を輩出している背景から、木工用ドリルにも汎用性を持たせています。BOSCHの電動工具以外にも広く適応可能。
先三角タイプですがねじ切り加工はしていません。そのため位置合わせのしやすさを維持しながら過度の食いつきを防ぎます。そのため電動ドリルだけでなく、回転力のあるボール盤での使用でも作業が捗ります。
高儀-テーパー下穴錐 六角軸 3本組(2,579円)
下穴加工で失敗のない綺麗な仕上がりを
釘やビス打ちの際に陥りやすい進入角のずれ。そんな時は下穴加工を施すことでずれを予防することができます。テーパーとは先細りの意味で、ビス形状に合わせ固定力を高めます。押し込みを調整することで下穴の径の微調整も可能。
径のサイズを変更することで多様な部材に対応可能。加工工程がひとつ増えることの手間はありますが、失敗してしまう確率は確実に減少します。ネジを締めていく段階で起こりやすい素材割れも予防することができます。
アネックス–カラーハイス下穴錐 (1,694円)
色分けでサイズ径が分かる親切設計の下穴用ドリル
木工用ドリルの中でも彩り鮮やかなカラーハイス。ハイス鋼とは高速切削のために開発された金属であり、加工時間経過による劣化が起こりにくくなっています。色分けでサイズ径が分かるようになっており、ケースから取り出して保管していた場合も分かりやすくなっています。
下穴だけでなく穴開けにも対応可能。下穴用の場合は、実際に使用する固定金具より1サイズ小さいものを使うことがおすすめです。セットになっているドリルの場合、ミスしてもひとつ径の大きいサイズのドリルで切り直すことで調整できる場合があります。
木材加工でおすすめの木工用ドリル
スターエム-六角軸ダボ錐 10.0mm (1,071円)
ダボ枠切削に特化した形状で失敗しにくい加工
木工用ドリルでも調整しながらダボ穴を開けることができますが、ダボ穴専用ドリルを使うと作業効率が格段に向上します。スターエムのダボ錐はストッパーが付いているので誤って貫通させてしまうリスクも減少。ストッパー部分もテーパー加工になっており、加工部を傷つきにくい配慮がなされています。
家具や棚など、接続や調整のためのダボ穴加工を続ける場合はダボ穴専用ドリルがおすすめ。精密作業が連続する場合、小さなストレスを軽減するだけで負担が大きく軽減されます。既製品家具をリメイクする場合にも活用できます。
SK11-木工用ボアビット 18mm (1,110円)
加工面を平らに仕上げられるボアビット
木工用ドリルで切削した部分は、先端形状によって平らにならないことがほとんど。ボアビットを使うと、底面が平らに仕上がります。接続部分としての切削だけでなく切削部分をそのまま作品としても用いることができます。
ボアビットは座ぐりドリルやフォスナービットとも呼ばれることもあります。サイズも15mmから60mmなど様々。一般的なコーヒー缶の直径が50mm程度のため、ボアビットでドリンクホルダーを作ることもできます。
SK11-フリードリル FC-5 (1,100円)
切削面のバリを取り加工面を美しく仕上げる
穴開けなどの加工を行った後、素材によってはバリが起きやすいものがあります。見た目を損なうばかりか、鋭く隆起している場合怪我をしてしまうことも。フリードリルは面取りドリルとも呼ばれ、加工面の面取りを行い加工面を美しく仕上げます。
切削面を調整することで、皿ビスなどの頭を加工面とツラにする座ぐりが可能。電動ドリルでも行えますが、ポール盤を使用すると刃先が垂直に当たるためビスもずれにくくなります。ビスと加工面が綺麗にツラになると引っかかりを感じないほどになります。
スターエム-皿取錐&埋木錐セット (3,499円)
木材加工における一台二役を兼ね備えたアイデアドリル
スターエムの皿取錐は、下穴開けと座ぐりがひとつでできる優れもの。接続金具の大きさが統一されている場合、下穴用とフリードリルふたつを準備しなくとも皿取錐のみで一度に加工できます。付け替えの手間もないので、作業効率も向上します。
埋木錐は、中心を残して周囲を切削します。マイナスドライバーなどで叩くと、残った中心部が外れダボとして利用可能に。切削部分を調整することでダボの長さも自由自在です。金属部品をなるべく使用したくない加工におすすめです。
sac taske-角穴ドリル6サイズセット (6,580円)
ドリルでも四角い穴が開けられる電動チゼル
ドリルの多くは、加工面が丸くなるもの。しかしながら角穴ドリルを使えば、加工面を四角く開けることが可能。木材同士の接続方法のひとつであり、ズレにくく耐久力のあるほぞ接ぎができるようになります。
ほぞ接ぎは、ガーデンテラス柵やウッドデッキなど比較的大型の木材を使用するDIYにも活躍。電動チゼルという呼び方もあり、チゼルとは日本で言うノミに当たります。加工品のレベルアップを目指したい方におすすめです。
ロングタイプでおすすめの木工用ドリル
スターエム-インパクトビットロング (2,250円)
ネジ丈が125mm以上あるので厚手の木材加工におすすめ
ツーバイフォー素材など、厚さのある木材加工にはロングタイプの木工用ドリルが適しています。加工穴径によってネジ丈も変わりますが、スターエムでは125mmから295mmのサイズがあり品ぞろえも豊富。貫通しやすくなる分、土台などを傷つけないよう配慮が必要です。
ドリルストッパーを用いれば、加工部分の長さを調整可能。大は小を兼ねるの言葉通り、様々な対応ができるようになります。ただし長さがある分、工具接続後の取り回しでケガをしないよう十分に注意しましょう。
DENSAN-木工ドリル(ロングタイプ) (1,646円)
削り過ぎを防ぐ目盛り付きでロングタイプの弱点をカバー
厚めの素材や重ねて加工する際、ロングタイプの難点として精密作業がしにくい点が挙げられます。DENSANが手掛けたロングタイプ木工ドリルには30mmごとにラインが入っており、加工調整の目安にしやすい安心設計。ポール盤だけでなく電動ドリルでも活用できます。
木工用ドリルは先端形状の耐久性で寿命が決まるもの。DENSANの木工ドリルは特殊合金製で摩耗しにくく、木材への食いつきが良いので長く愛用できます。ロングタイプのドリルは削りカスの排出が追い付かず詰まってしまうこともあるため、排出のハケを向上させる設計となっています。
大西-木工用スケ-ルビットロング (1,696円)
深穴作業に最適な目盛り付きロングタイプドリル
海外シェアも幅広く持つ大西工業が手掛けるロングタイプの木工用ドリル。30mmごとに目盛りがついているので、深堀り防止の目安になります。尖端は先三角形状で溝堀り加工を施しているため、素材の逃げを防いで確実な加工が可能です。
削り過ぎを防ぐため、テープ巻きと呼ばれるドリルに養生テープ等を巻き付けて目印にする方法がありました。ドリル自体に目盛加工をすることでテープ巻きが不要になり、作業効率も向上します。インパクトドライバーにも対応可能です。
スターエム-ロングS型仮枠ビット (787円)
コンパネ素材の穴開けに特化したロングタイプドリル
現場での仮枠を固定するセパレータのため、コンパネ穴開け用に開発された木工用ドリル。重ねた素材でも楽に貫通させることが可能です。ビットタイプのため、インパクトドライバでも簡単に取り外すことができます。
厚さ12mmのコンパネ2枚重ねも簡単に貫通可能。ストッパーがついたタイプもあり、連続した作業もストレスなく行えます。手元までの溝切り加工がないため厚手の素材には向きませんが、コンパネのように薄手の素材に対しての貫通力は折り紙付きです。
まとめ
用途に合わせて選ぶ木工用ドリルがおすすめ
一口に木工用ドリルと言えど、加工素材や目的に応じてドリルを選ぶことで作業効率や品質精度の向上に役立つものばかりです。初心者からプロまで幅広く使えるものも多く、ホームセンターでも気軽に購入できるため身近に感じられる工具のひとつとも言えるでしょう。今回のランキングを参考に、ぜひ店頭でああなたのお気に入りを見つけてください。